法人 人事・労務

当社の従業員Aが、業務中に他の従業員Bとケンカになり、胸ぐらを掴むなどしたようです。
Bが被害届を出したらしく、Aは捜査機関による取調べを受けるなどしましたが、不起訴になりました。
AもBもすでに退職しているのですが、Bが、当社に治療費と慰謝料を払えと連絡してきました。
当社が支払う義務はあるのでしょうか。

業務中に従業員が不法行為によって第三者に損害を与えた場合には、その従業員を使用している会社は、使用者責任に基づく損害賠償義務を負います(民法715条1項)。

また、状況によっては、労働契約上の安全配慮義務違反が問われる場合もあります。

したがって、AがBに対する損害賠償義務を負うのはもちろんですが、会社もBに対する損害賠償義務を負うことになります。

ただし、会社が損害賠償を支払った場合には、これを当事者である従業員に求償することができます(民法715条3項)。もっとも、会社は、従業員によって利益を得ている関係上、損失も会社が負担すべきとされており、故意の犯罪行為による場合などを除き、一部の求償ができるにとどまるとされています。

本件の場合には、故意による犯罪行為ですので、Bに損害賠償を支払った場合には、ケンカの状況にもよりますが、Aに求償することができる可能性があると思われます。

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