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20代女性 刑事事件
目次
詐欺は,相手を騙す行為を行って,相手を錯誤に陥らせ(誤った情報を認識させて),その錯誤に基づいて,物の引渡しを受けたり,サービスを受けた場合に成立します。
そして,この相手を騙す行為は,一定の事実を告げるべきであるのにそれ告げなかったことで,相手を錯誤に陥らせた(錯誤に陥っている状態を継続させた)場合も含みます。例えば,暴力団関係者を排除しているゴルフ場で,暴力団関係者の同伴者が,これをゴルフ場に申告せずに利用の申込みをしたケースで,詐欺罪が成立したものがあります。
ここで大事なのは「一定の事実を告げるべきであるのに」という部分で,ゴルフ場の例で言えば,そのゴルフ場が,暴力団関係者の利用を拒絶していることが明らかで,実際に暴力団関係者だと判明すればプレーさせることはなかったという事情があれば,暴力団関係者であることを告げるべきであったといい得ることになります。
また,詐欺罪が成立するためには,故意(相手を騙して物やサービスを得ようという意思)が必要ですから,暴力団関係者であることを告げるべきことを利用者が認識していることも必要になりますので,ゴルフ場側が暴力団関係者の利用を拒絶することを利用者側に示しているといった事情も必要になります。
ここで,今回のケースについて見てみると,「自分も同業者なんです」と店側に伝えるべきであったかが問題で,例えば,お店に「同業者には販売しません」というような掲示がなされているとか,業界の慣例として同業者間では絶対に取引をしないことになっているなどの事情がなければ,同業者であることを店側に伝えなければならない義務があったとまではいえないでしょうし,客としても,少なくともそのような義務があることを認識し得ないでしょう。
また,店側が,そもそも相談者の親を同業者だと知っていたのだとすれば,相談者も親も店をだましていないことになるので,そもそも詐欺罪は成立しません。