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70代女性 労働
目次
本件の場合,会社は取引先から本来請求できる金額と,過大請求をした金額との差額の返還を求めているということですので,この差額部分は,本来,会社は受け取れないはずの利益です(このように,法律上の原因に基づかない利益を不当利得といいます)。
そうすると,会社としては,不当利得の返還を求められているにすぎませんので,これを返還したとしても,会社は,もともと持っていなかったはずのものを返したにすぎず,会社には何ら損害は発生していないと考えることができそうです。
したがって,会社からの要求に応じる必要はないと考えられます。
ただし,この過大請求によって,継続的な取引が打ち切られた場合など,状況によっては,会社に損害が生じたとみることができることもあり得ます。
もっとも,従業員が横領などの犯罪行為で故意に会社に損害を与えた場合には,会社は従業員に全額の損害賠償を請求することができますが,単なる過失(ミス)である場合,従業員への損害賠償請求には一定の制限がありますので,仮に自分のミスで会社に損害が生じたとしても,その責任を全て負わなければならないというわけではありません。